カジノ法案について

ずっと賭博禁止国として歩んできた日本、ですがついに2018年に「カジノ法案・IR整備法」が成立しました。
これはカジノを含む統合型リゾート施設を作ろうという法律で、正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法案」という長い名前になります。
カジノはほんの一部、IR・統合型リゾートを誘致することが主な目的でだからこそIR法と呼ばれることが多いのです。

統合型リゾート施設というのは、カジノだけでなくホテルに映画館・レストランやショッピングモールなどを含む複合型大型施設を指します。
大人の遊び場というわけではなく家族皆が集まることのできるリゾート施設、例えばシンガポールのマリーナベイサンズなどはその例として有名です。

小さな国であるシンガポール、こちらも日本と同じくつい最近までは賭博禁止を法律で定めていました。
でも大切な観光業も先細り、このままでは衰退してしまうと行ったのがIRの開設だったのです。
おかげで観光収入は倍増、今やシンガポール経済においてなくてはならない存在です。

つまりは経済効果こそが大きな目的です。
もしも東京・大阪・沖縄といった大都市にこういった施設を作った場合に、売り上げは4兆円とも予測されています。
世界有数のカジノ大国に、それに伴う投資が一気に倍増しそうなのです。
様々な機能を持つ大きな複合施設ですから雇用の創出も望めます。
試算レベルとはいえ1万5000人ともその数が言われているのです。
IRの出来る前は1100万人程度だったシンガポールの観光客、ですがその2年後には1440万人に増えています。
観光客が増加すれば観光業の活性化にもつながるのです。
これらのメリットを見込んでの法案の制定、ただしデメリットや問題点があることも忘れてはいけません。

多くの外国人観光客がやってくるわけですから、周辺の治安の悪化は懸念されます。
賭博も行える複合型施設となると、反社会的勢力の関与する傾向も高まります。
犯罪など不正に得たお金・反社会的勢力が活動する中で得たお金を出所を分からなくするために、マネーロンダリング目的で使用される危険性もあります。
マネロン対策に関しては後進の日本ですから、温床となってしまうかもしれません。
賭博禁止とは言っても、その法律の目をくぐる形でパチンコ・パチスロ・競馬など日本にだって様々なギャンブルは存在します。
更には最近はオンラインでカジノを楽しむという方も増えました。
そして複合型施設が出来てとなると、ますます日本国内でギャンブルに触れる機会が多くなっていくのです。
そうなると心配なのがギャンブル依存症の増加です。
厚生労働省の発表によると、すでに日本にはその疑いがある人が500万人を超えていると言われています。
ストレス社会だったり気真面目で勤勉な性格のためか、他国と比較してもその数は少ないとは言えずギャンブル依存症に陥りやすい傾向にあるようです。
更にその危険を増やしてしまうのは望ましいとは言えません。
賭博に関わる方も多くなっているとはいえ、日本人の多くはマイナスイメージを持っています。
日本にIRがやってくると言われても未知の世界、受け入れられるまでそれなりに時間を要するはずです。
賭博が許される海外ではお年寄りが社交の場として毎日スロットをしにきて、少額のみを稼いであとは仲間との会話を楽しんでといった世界も普通にあるのです。
ニュースで報道されるのは一部、でも強い抵抗はまだしばらくは続くでしょう。

法案成立したとはいえデメリットも多い中でどうなっていくかはまだ分かりません。
メリットだけでなくデメリットも多数あるため、慎重に進めていく必要はあるのです。