特定非営利活動法人福島ライフエイド(NPO法人ふくしまらいふえいど)は3.11を原因とする県外生活者、そして地域住民のニーズに応える復興支援活動を行う団体です。















 原発事故で拡散した放射性物質によって福島県の農家は農産物の出荷制限や風評被害に苦しんでいます。農家は土壌汚染の問題も抱え休廃業も余儀なくされているなか、福島県の次代を担う農業者を養成している同校ではどのような取り組みをされているのか、副校長の荒川市郎さんにお伺いしました。

自然循環機能を発揮した農業を目指して
 当校は福島県の基幹産業である農業の担い手を育成するため、昭和10年に福島県立修練農場としてスタートしました。校訓でもある「花を咲かせ 果を実らせて 地球を肥やせ」は生物生産や自然循環機能を本質とする農業を学ぶことで、地球を救う二十一世紀の旗手として躍進することを願う意味があります。放射性物質による土壌汚染の課題があっても、自然循環機能を発揮することが農業の本質であることに変わりありません。この震災を機会により良い農業にしていく。それが復興につながっていくと思っています。

出来ることをできる限りやっていく
 本校は、放射線量がかなり低い地域ですが、牧草地では反転耕やゼオライトの散布などの除染作業を行い、水田ではカリウム肥料を多く散布するなどして吸収抑制対策に努めました。その結果、収穫した農産物の放射性物質検査では、不検出でした。今でも定期的に空間線量モニターや農産物検査を継続し、講義でも放射性物質を取り上げ理解を深めています。そうした安全・安心を見える形にすることで、学生も放射能を過敏に気にすることなく元気に学業に取り組んでいます。
 また、この震災があって全国の農業大学校から支援や激励の寄せ書きをいただきました。今年の夏には北海道の農業大学校の学生がカンパを集めて、大型トラック1台分の牧草(ロール)を届けてくれました。放射能汚染により牧草が使えなかった時でしたので本当に嬉しかったですね。
 現在、在籍学生は男子65名、女子24名の計89名。そのうち6割が専業農家や兼業農家出身の学生です。リーマンショック直後は農業に興味を持つ学生が多く、定員を大幅に超える受験生の応募がありましたが、今年の1年生は震災や原発事故の影響があって減少しました。学生達は地域の農業を盛り上げたいという気持ち、夢をもっています。私たちは農業の担い手として必要な技術や経営管理能力の修得を通じて、その夢を応援したいと考えています。特に現代の子達は生物に接する機会が少ないので、仔牛の誕生や自分が育てた果実の生命を感じて欲しい。それを伝えるのが私達の役目です。
 震災によって、私達は食がどんなに有難いものか身にしみて分かりました。その食を作り育てることの大切さを学び、若い人の感覚でこれからの農業の未来を切り開いて行ってほしいと思います。


■プロフィール
荒川 市郎(あらかわ・いちろう)
福島県農業総合センター・農業短期大学校副校長。塙町出身。農家の長男に生まれる。試験研究機関勤務が長く、農業情報や農業気象に精通し、冷害や地球温暖化等の研究に取り組んでいた。

福島県農業総合センター農業短期大学校
〒969-0292 福島県西白河郡矢吹町一本木446番地1
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